マボロシの東京散策2002 #21

21話 スシを食らう 2002年1月5日土曜日

東京都庁からの夜景が見られて良かった。
疲れていたけど、やはり観光は日常ではないのだ。
ガンバラねばなるまい。

ソバを食べたのが午後4時頃だったのだが、ちょうどころ合いもよく、オナカがすいてきた。

さあ、どーしよう?
この知らない大都会に二人が食べたいものがあるのだろうか?
あるには違いないのだが、瞬間的な決断力に欠ける二人。

結局、宿であるワシントンホテル内にあるドコカへ入ろうということになった。
つまらない感じでもあるが、普段からそれほど冒険心がある訳でもなく、くたびれているせいもあり、さらに小心。

またまた、ちなみにであるが、この日の夕食の予定は

「『新宿 叙叙園』の焼肉」

であった。

ダウンタウンの浜ちゃんが「うまくて高い」と言っていた。
一度は食べてみたいと思っていたのだ。
またしても予定は予定として終わった。

なんだかんだとしているうちに、時間は8時をまわっていた。ホテルの飲食街も大半が店終いの時間。
選択の余地はあまりなく、で、寿司。決定。
案外と早かった。

寿司屋の名前は忘れてしまった。
ガラス越しにみたセットを決めて入店したため、オシボリを受け取るとともに注文。
なかなかのツウ振り。けれどセット。まあ、いいけど。
『桐セット』だったかな? スシ、お吸い物、茶わん蒸し、デザートがついて、2000円でお釣があったと思ったのだが。記憶違いか?

団長とタカサカはビールを飲んだ。

タカサカはW.A.Rに連絡をしてみた。
部屋のカードキーを持っているのは、タカサカだ。
W.A.Rにホテルの寿司屋にいることを伝えた。
W.A.Rは焼肉を妹さんと食べ、その後、狩りは続いていたらしく、CD屋にいるらしい様子。

寿司屋の二人は2002年1月5日の思い出を語った。
(注 もうこのあたりになると、だんだん記憶があやふやになってくる。そんな話をしたような、しないような)

店は終了時間をむかえていたが、デザートを食べ、お茶をススった。

結局、W.A.Rは帰ってこない。二人は部屋に戻ることにした。
ホテル内のコンビニで飲み物を購入。タカサカはついつい缶ビールを買ってしまった。

これからまた情熱あふれるアノ部屋に帰るのかと思うと、少し哀しかった。
しかし、帰るところがあるというのはそれだけで幸せなのかもしれない。
その時はそんなことは考えなかったけどね。

我々も別に『暑い部屋』をそのままの状態で受け入れていた訳でもなかった。
タカサカは部屋の異常を訴えるべく、このように暑いのが当たり前なのでしょうか? と切々と手紙をしたためたりもした。

だが、しかし、暑い。ナニ モ カワラズ。

どーなのだろう? こーいう時は、部屋を替えてくれたまえ!と一喝するものなのだろうか? だとするのなら、我々はなんと従順な小ひつじなのだろう?

タカサカは濡れた手ぬぐいを換気口の近くにぶら下げた。無言で。

買ってきた飲み物を冷やすために、氷をとりに出る。
昨夜は団長とW.A.Rが行ったので、今夜はタカサカが向かう。
買い物袋に一杯の氷を入れるのに、かなりの時間を要した。客室の並ぶ廊下にポツンと置かれた製氷機は、ひとりでウンガッカ!ウンガッカ!と気張るのだ。袋を入り口にかぶせ、タカサカは立ち尽くした。無言で。

氷をブラ下げて戻ると、部屋には狩りから戻ったW.A.Rがいた。

続き
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