2006.01月『久保綾乃 泡沫 UTA-KATA』

2006年1月11日(水)〜1月21日(土)

アクリル画

泡沫(うたかた)—はかなく消えやすいことのたとえ。
         はかないもの。あわ、みなわ —

モチーフとして「虫」を描き始めて5年。「なぜ虫なのか?」と
絵を御覧になった方から尋ねられることが時々あります。
その答えは生まれ育った環境にありました。

池田町の川合に生まれた私は、自然に囲まれた土地で幼い頃から
植物や虫と遊び、観察し、空想するのが好きな子供でした。
それらはとても身近な友人のような存在でした。

高校卒業後「絵を描くのが好きだから」という理由で
美術学校に入学しましたが、周囲のペースについてゆけず挫折。
クラスメイトに「描く資格がない」とまで言われた私は、
画材に触れることすら出来なくなる時期がありました。

春休み。実家に帰ってきた私は、懐かしい林や沼周辺をぶらぶらと
散歩しました。そこで子供の頃好きでよく遊んでいた草がひと冬越し、
枯れた姿のまま残っているのを見つけました。その時、昔の記憶や
空想していたことが思い出され、急に植物や虫を描きたくなったのです。
それが今のような絵を描くことになるきっかけとなりました。

学校で描かされていた石膏像も裸婦も牛骨も、いかにもアカデミックな
モチーフですが、もう描くことはないでしょう。私にとってそれらは
単なる形をとらえるための習作用のモチーフにすぎないのです。

表現したいものを表現できるようになりたい。絵を通して誰かと心を
通わせることができたらと思います。私は私の描きたい絵を見つけま
した。技術や表現力はまだまだ未熟ですが、今は、はっきりと自分の
心の居場所をとらえることができます。

『泡沫 UTA-KATA』で描いた虫たちは、私たち人間と同じです。
閉ざされた泡の中で、それぞれの個がそれぞれの想いを抱き、
泡は時と共に形を変え、いつか虫たちは互いに出会うかもしれない。

あるいは、今は一緒でも泡と共に存在自体消えてしまうかもしれない。
そして出会いと別れを幾度も重ね、最後に残るのはおそらく形ではなく、
記憶なのです。

虫も私たち人間も同じです。
それぞれにドラマがあり、想いをはせて生きています。
そんな虫たちの呟きを、物語を、耳をすまして描きました。

本展は
『田園都市のコンテポラリーアート雪と風の器05-06』
〜 FIELD OF ART : TOKACHI – 在るべき場所へ 〜

の一環として開催されました。

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2006.01月『久保綾乃 泡沫 UTA-KATA』
2006.03月『FIELD OF ART:TOKACHI-在るべき場所へ 合同展示』
2005.05月『久保綾乃展 白日夢蟲』