『あさがお日記2008』

2008年の夏。タカサカは「あさがお」に取り組みました。
きっかけは、前年ツカコシさんが家から双葉の「あさがお」の苗をいくつか持ってきたのが始まりです。
タカサカにとっての2007年の夏は「オビヒロホコテン」での活動一色。まったくぎゅーぎゅーでロクに「あさがお」にかまってあげられませんでした。ひょろひょろと貧弱に伸び、ポロポロと花の咲く姿は、それはそれできれいなのですが、もう少し手をかけてやりたいものだとの思いが強く残ったのでした。やはり、園芸ものは時間とココロに余裕がなければ出来ません。実感です。
そんな気持ちの中、2008年の春をむかえます。今年は「あさがお」で生け垣のようなカタチにしたいなと思い行動開始です。新学期が始まる頃合いのあたたかな 日に去年採取した種を直接庭の土に撒きました。遠い小学校の記憶では植木鉢に撒いて教室で芽が出るのを観察したものですから、直播きが果たして良い結果を導くのかは疑問でしたけど。
芽が出ました。自然の力の前にタカサカの浅はかな心配など無用です。
もう一つの心配事は、ここ最近出回っている種は花が咲いて実を結んだとしても芽が出ない、もしくは花が咲かないように細工をしてあるらしいということでし た。人間 は経済活動の一環として種の自由も制限し始めているのです。ちょっと不安です。
さて、芽が出てほどなくすると「つる」と言うのでしょうか?「ひげ」と言うのでしょうか?ずんずんと伸びてきます。つるは支えが必要です。彼らはゆっくりですが動物のようにあたりをきょろきょろ見回すように支えになるナニかを探し求めます。放っておくと勝手にナニかに掴まってしまいます。今年は「生け垣状」になってもらいたいものですからタカサカが様々に制御いたします。木の棒を良いあんばいに配置しました。窓を覆い尽くすように、すだれのようにしたかったので全部で9本の棒を立てました。

あさがお日記 2008

2008/7/12
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旺盛な生命力は支えを得たこと幸い、つるはぐんぐんと巻き付いて行きます。ちなみに右回りです。本当にあっと言う間に短い棒の頂点を昇りつめます。行き先を見失う「つる」はヘビのように円を描くように見回します。ナニかつかまるものは??という切実な気配です。去年は同じような棒を何度も何度もくくりつけて最終的にひもをくくるという後手後手な無様なありさまでしたので今年はすっきりと「麻紐」を用意していました。見栄えよく計画的に屋根までとどく麻紐を一気にくくりつけました。等間隔に張ったひもは良い感じです。はたして屋根まで全部が上るだろうか?とも思いましたけど、セッティング完了です。隣のお花屋さんの助言を受けて、一本の麻紐に5本から6本のつるを巻き付けてゆきます。そうすることによって時間差でうまい具合にバラバラと上から下まで咲いてくれるそうなのです。


2008/7/14
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花が咲きました。自然の力の前にタカサカの浅はかな心配など無用です。
2008年初の花です。色鮮やかです。表面のたくさんの粒子の発光が美しいです。


2008/7/16
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店内窓越しに眺めてます。フローモーションは午前11時オープンです。「あさがお」ですから、花の盛りは午前中です。日当りの関係や、天気の影響などでまちま ちですが、曇りの日などは午後3時くらいまで咲いています。その後はしわしわしわぁと水分がぬけていくようにしおれてゆくのです。お客様の中には「こんなにしわしわになってもまた明日にはちゃんと咲くんですねぇ」なんてことをおっしゃる方もいるのですけど、そんなことはありません。花はその日咲いてしおれておしまいです。しおれた花は垂れ下がり、ぽとりと地面に落下します。そして種をはぐくむのです。


2008/8/8
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2008/8/18
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ずんずんと伸びにのび、理想とするすだれのような状態になりました。
夏の盛りのころには、毎日60以上の花が咲きました。まるで着物の柄のようです。小さめの可憐な咲きっぷりは風情があります。近年の「あさがお」は迫力のある大きさと色目です。タカサカにもそんな種を混ぜたい思いがあるのですけど、さて、2009年はどういった趣向にいたしましょうか。


2008/8/22
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2008/9/11
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一階の屋根迄のびた「あさがお」のために更にひもを付け足そうかとも思ったのですが、建物の構造上難しい作業になりそうだったのでやめました。それで、そのままのび続けるとどうなるものかと眺めていましたら、なんと彼らは互いに絡み付き、相互互助で更に上を目指すのでした。けれども基本はか細い茎同士です。伸びて伸びて絡まって、自重をささえることはできません。そしてこんがらがって垂れ下がってゆきます。


2008/9/23
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その日、不思議なカタチの花が咲きました。普段見る「あさがお」にまるで花弁のような切れ込みが入っています。なにかの加 減で咲いたのでしょうが、自然の力はまたしても面白いものを見せてくれたのです。


2008/9/27
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ちらほらと種の塊が茶色く色づく頃合いがきました。そのまま最後迄放っておくと、種がばらばらと飛び散ってしまいますので、少しづつ収穫です。
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一つの塊の 中にはだいたい6粒の種が本当にスイカを切り分けたようなカタチで入っています。
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種は二粒づつ三つの部屋に分かれて収まっています。部屋と部屋を隔てる薄 い壁の造形が見事です。


2008/10/25
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そろそろ秋の気配が深まる頃。葉もどんどん黄色くなって落ちてゆきます。見栄えはあまり良くありません。凍てつく季節の到来が近い事を吹き抜ける風に感じながらも、彼らは伸びることをやめません。てっぺんのつるは盛りの頃よりはゆっくりですが伸びて伸びます。そして花芽をつけて膨らみ、花の咲く順番をじっと待ちます。こぼれた種は芽吹きます。これからやってくる季節を知ってか知らずか分かりませんが、生きるチャンスを自ら放棄することなく育ってゆくのでした。なので、10月25日を『最期』としたのはタカサカの都合だったのです。次の日に咲きそうな花芽を残しつつ。もちろん順々に咲くであろう花芽も多くありました。ただ、すだれのようにかけたあさがおの後片付けをタカサカの気持ちの良い温度でしたいものだという勝手な都合で10月25日を『最期』としたのでした。

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コラム『2010年のあさがおのこと』