マボロシの東京散策2002 #10

 第10話 歩いて歩いて60分以上 2002年1月5日土曜日

さあ、東京散策も2日目だ。かなり慣れたものである??
1月5日は土曜日。午前10時前には行動を開始した。

CD漁りを楽しみにしていたW.A.Rはイキイキとしていた。

まずは、昨夜、事前調査済みの『ディスクヘブン』へと向かう。

ちなみに、旅行出発前の計画では原宿でクレープを購入し、そのまま明治神宮初もうで、というものであった。
まあ、これもやればやったでおもしろい企画ではあった。あくまで、予定である。
(注 男3人が笑顔でクレープを頬張っている姿を想像してもらいたい)

都庁通りをまっすぐに昨夜きた道をそのまま、目指す店までひたすら歩いた。

到着。
はたして入り口は?
3階に看板は見えるのだが入り口は?
雑居ビルはナカナカ難しい。裏に回るとなんだか薄汚れた踊り場にエレベータ。

3人は乗り込む。3人が横に並んで入るといっぱいのエレベータだった。
3階。しかし、トビラは開かない。ああ、壊れた。タカサカは正直そんなふうに思った。

W.A.Rは冷静だった。
まだ、営業時間前だったのだ。
3人は1階に戻り、予定を変更した。
ちなみに、同じビル内には『ディスクヘル』という店もあった。
(注 『ディスクヘル』はパンク関係のものが多く置いてあるらしい。見たかったが、これからのスケジュールを考えて見るのは、ぼくはやめにしておいた。あ〜あ、見とけばよかった)

W.A.Rはこの日、CD漁りは尚更だが、妹さんに会う、という重要な課題も抱えていた。
しかも妹さんと会う確約がとれないでいた。連絡がつかないらしい。

とりあえず、山の手線で渋谷へと向かうことになった。

何となく乗り込んだ電車は先頭で、タカサカを喜ばせた。
ガタンゴトンと正面の風景が見られるのはとても楽しい。
運転手は若かった。
ジーと見ていて分かったのだが、運転手はそれぞれがそれぞれの座ぶとんを持ち歩いているらしい。交代のときに、彼等は、私物のカバンとともに座ぶとんを持って外へ出た。次ぎの運転手も自分の座ぶとんをひいて、運転席に着くのだ。
こんなドーデモいいものが見られると、タカサカはうれしい。

渋谷へ到着。
うまくスクランブル交差点の方へは出られなかった。
おかげさまで、モアイ像が見れた。まあ、良かった。

CDハンター・W.A.Rは『タワーレコード』にいく途中にも小さなCDショップを発見していた。

やってきました『タワーレコード』渋谷店でございます。
地上8階地下1階。ここにはたくさんある。ナニカガ。いや、ほんとに。
それでも、W.A.Rに言わせると、ナンデモあるわけではないのだ。難しい。
タカサカにはここには世界の音楽が全部ありそーに見えてしまうのだが、どーやら違うらしい。
奥が深い。
(注 タカサカ、W.A.R、そしてわたくしは音楽の好みがバラバラである。とくに、W.A.Rとわたくしはとっても音楽が好きなのだが、欲しいものはデカイ『タワーレコード』でもなかなか入手できないことにジレンマを感じている。そういう悩みはタカサカには分かるまい。オリコン・チャート好きな輩には)

団長もW.A.Rもそれぞれに探索の目を光らせて、前線へと向かった。
どーしよ?とタカサカは7階に『タワーブックス』があるのを見つけ、喜んで本屋へと向かった。

「オトーサン、オトーサン、ホンヤサン ヘ イッテ クルネ」

とタカサカは言った。

「イイヨ、イッテ オイデ」

とW.A.Rは言った。

何とまあ、たくさんの本がある。けれど、ほとんどが外国の本だ。
タカサカはあまり英語がわからない。だから、ビジュアルを求めた。
あった、あった日本コミックの外国版。これならわかる。

名作『バナナフィッシュ』があった。1冊1700円?だったかな? まあ、高かったのはほんとうだ。

外国の本は変型ものが多いように感じる。特にビジュアルものに多いようだ。大きさがマチマチだ。だから、展示も大変そうだ。見る分には変化があっておもしろいが、整理するのは大変そうだ。
(注 ここでは原書がいろいろ買えそうだったんだが購入を控えた。SFの翻訳絶版ものがいろいろあったんだよ〜。これも買っとけば良かった)

買おうと思っただけの本を紹介しよう。

世界の家庭用ゲーム機の変遷をパッケージデザインで追った本があった。充実の内容だった。
80年代のブームのなかで覚えておきたい『らしさ』がいっぱいにつまっていた。

世界的な服飾デザイナーの完成した服の写真と、それに使われたキレとセットになった写真集。
写真もすばらしいのだが、写真だけではどーしても伝わらない感触を封じ込めた素晴らしい本だった。
1着ウン十万もするに違いない服のハギレを触れただけでも果報者である。それがこの1冊には数十の服の写真とキレが入っているのだ。
安い!15,000円は安い!!

以上、タカサカが欲しいと感じたけど買わなかった本の紹介である。

ちなみに買わなかったことを後悔はしていない。

窓に雪のチラつく都会が見えた。
団長とタカサカはまたもや思いもしない不幸に見舞われる。そんなにたいしたことないんだけどさ。

続き
#09