月イチコラム「オトナの習いごと」

「オトナの習いごと」009

最近の子供たちは学校・塾・習いごとなど、分刻みのスケジュールで大忙しの日々を送っていると小耳にはさみます。3歳くらいになると、ピアノ・バレエ・英会話などほとんどのお子さんたちが何かしら習っていると聞きます。私の幼い頃は小学生になったら習字かそろばんが定番だったんですけどね。

大人になってから思うのは、趣味として続けられる何かを持っていたいということです。それこそ小学生の頃はそろばん・水泳・公文に通っていましたが、今も続けているものは何一つありません。

大人になってから習ったものは3つあります。
1つ目はケーキ教室。自分で喫茶店をやりたいと思って仕事をやめてから、やっとケーキ教室に通いました。きちんと製菓学校に行かないとケーキなんて作れないと思っていたのですが、私が通った教室はかなり本格的でした。電動ミキサーなどは使わず泡立て器ひとつでメレンゲ(卵白を角が立つまで泡立てたもの)を作るので、教室の翌日は筋肉痛で腕がプルプルしていました。 2年半ほど通って一応終了証をいただきました。おかげさまで基本のレシピを自分の思うようにアレンジできて、レパートリーも増えました。

2つ目は陶芸です。私は和食器が好きで陶芸市などへはよく見に行っていました。陶芸を習いたいなあと思っていたのですが、月謝が高くてなかなか思い切ることが出来ずにいました。 ある日友人が陶芸を始めたというので話を聞いてみると、先生は趣味で釜を持っている方で空いているろくろを借りて作っていると言うではありませんか。 「行きたーい!」ということで通いましたが、ろくろは本当に難しいもので、悪戦苦闘しているうちに楕円形の茶碗や穴の開いた湯のみが出来上がります。

「先生―!たすけてクダサイ・・・」 
先生がうまい具合に直してくれます。 
あ、じゃあこのまま焼いてください。・・・ダメ? ってなことばかりしていたので上達せず、今はプロ並みの腕前になった友人に頼んで器を作ってもらっています。ホットサンドのお皿やチャイの器がそうです。その友人から抹茶茶碗を作ってもらったので、近いうちにお抹茶をメニューに出さなければと思っています。

3つ目は着付けです。以前から日本人なのに和服を一人で着られないなんて恥ずかしいと思い続けていました。私たちのおばあちゃんくらいの方々は普通に和服を着ていたのです。それなのに、いざ着付け教室へ通おうとするとお月謝が何万円もするではありませんか!

・・・何かおかしい。 

するとある日、新聞の折り込みちらしに4ヶ月間無料着付け教室とあるのを見つけました。 む、無料! さっそく申し込みをしました。教室は生徒7~8人に先生1人。20代から70代までの幅広い年齢層の女性たちが、慣れない手つきで自分の着物を持ってきては練習するのです。私はといえば自分用の着物が振袖しかなかったため、毎回バサバサと袖を揺らしながら練習しました。4ヶ月が経ち、もう教室が終了するというとき、やはりここで出会ったのは何かの縁と思い、メンバーの誕生日にはみんなで着物を着てパーティーをすることにしました。そうでもしないと和服を着る機会なんてそうそうやってきません。短期間で覚えたものは短期間で忘れます。簡単に忘れたくないので、数ヶ月に1回は着物を着て喫茶店でささやかにお祝いをします。30代の私に70代のお友達が出来たのです。人生談議を聞き、笑い、楽しい時間を過ごします。ある日私が着物姿で現れたら、今日は誰かの誕生日だと思ってください。

ケーキ教室・陶芸・着付けと習いごとをしましたが、実はまだまだやってみたいことがたくさんあります。運動不足解消のために太極拳とフラダンスを。あと、音楽は国境を越えるという「Worldwide」な考えで小さくてかわいらしい、ワタシに似合いそうなウクレレも弾いてみたいですね~。

かなり勝手な思い込みですが、今までの習いごと同様、チャンスがあればすぐにでも飛びつきたいところです。陶芸のように途中で挫折してしまうかもしれませんが、やってみなくちゃわかりません。オトナだからこそ、習いごとをたくさんして、もっと自分の世界を広げて行きたいと思っている2009年です。

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2009年2月
FLOWMOTIONカフェ担当 つかこしちひろ